自動機と呼ばれるものの始まりは、手横機に「パワー」(動力)を付けて、回数を指定して編めるようにしたものでした。
しかし、手横は必要な巾だけキャリッジを動かすことができますが、この装置は機械巾いっぱいキャリッジが移動しないとカウンターによる切り替えができません。
ヤーンフィーダー(色糸レール)による糸の切り替えは、色糸の切り替えだけでなく、抜き糸を間に入れて連続した編みができます。
前身頃×着数、後身頃×着数、左袖×着数、右袖×着数というようにすべての着数のガーメントを編終わってから縫製に入ります。
連続した編みの編出しリブを2×1にするには、針の選別のためにラーベン機が必要です。このラーベン機から柄が進化していきます。

ジャカード機の始めは「柄板」と呼ばれる機械巾いっぱいのスチールの板に孔を開けて、針の動きを制御していました。
キャリッジが1ストロークするごとに、柄板が送られ、その孔の位置で針を制御します。
ラーベン機は針床の針を長バット、短バットの並び変えを必要としましたが、このジャカード機から機械による針の制御が可能になりました。

プレッサーフットという技術が考案され、立体的な編地やウェール方向に増やし目をすることが可能になりました。
コートルーズ社が開発し、特許を持っています。
仕組みはピアノ線を針口の間に置いて、ワイヤー・フットで押さえることにより、針にかかっているループが持ち上がらないようにします。これによって、多重タックができるようになりました。

 

1970年代〜1980年始め
左の図はセミフルファッション機と呼ばれるものですが、右側にある孔の開いたカードで針の動きを制御しています。目増やし、落としが自動でできます。
コントロールカードは度目と速度、編み方(カムの指令)、色糸などを司ります。
当時は機械巾いっぱいまでキャリッジが動き、機械の端まで行って、カムが切り替わる仕組みです。

コンピュータ化の初期の時代
紙テープへ情報をパンチングするようになると、どこの位置ででも選針できるようになります。
それにより、柄のバリエーションが広がり、また、度目をモーターで1〜50までの数値として指定できるようになりました。
それ以前は度目は職人の感覚で「目盛」で調節していました。
また、振りもモーターで自動でできるようになりました。
さまざまな情報が数値のデータとして扱えるようになると、再現性が正確になり効率が良くなります。
80インチや72インチの大きな機械で、キャリッジは機械巾いっぱい動きます。

1982年にはインターシャが普通の機械でもできるようになり、1980年代中頃にはバリアブルドライブ、グりッパー、プレッサーフットがすべての機械に標準装備されるようになります。
バリアブルドライブとは、編地の巾だけキャリッジが動くことで、当然編み時間が短縮され、更にこれによって伏せ目ができるようになりました。
また、左袖、右袖、前身、後身という順に1着分ずつ編むようになり、着数分すべてのガーメントの編上がりを待つことなく縫製にとりかかれるようになりました。
生産時間の短縮ができ、小ロット、短期間生産の時代に対応していきます。
編出し針が付き、グリッパー(糸をつかむ装置)、左端にハサミも付きました。

機械と共に針も大きな進化をとげています。
通常、針床は交互に前後向かい合わせになっていますが、移し目をするときに針床を振って向かい側の針にループを移します。
完全に突き合わせになると針同士がぶつかるのでずらしています。
そのため、ループの形が左右対称ではありません。
それを解消したのが「コンパウンド針」です。
ループを落とすことなく、反対側の針に受け渡すことができように針にいろいろな工夫がされています。
針は「えぐれ針」、「羽針」、「コンパウンド針」という順に進化していきます。

図は「えぐれ針」です。凹みを作って、相手側の針をその凹みにすべりこませます。
側面
上から見たところ
下から見たところ

「えぐれ針」は針のえぐれているところに向かい側の針が入って、ループを移します。

図は「羽針」です。
側面
反対側の側面
上から見たところ
ベントと呼ばれる羽はバネになっていて、針の先端の方が開くようになっています。

「羽針」はベントと呼ばれる部分の隙間に向かい側の針が入ってループを移します。
ベントの間に入った向かい側の針はバネの開く方へすライドして、はずれるような仕組みです。

図は「コンパウンド針」です。
先端がふたつに割れているものがスライドしてループを固定します。
また、向かい側のループを移し取ります。
「コンパウンド針」はそれ以前の針ではループが左右対称ではなかったという問題点を解消し、目移しもきれいにできます。
ホールガーメントに必要な「割り増やし」もできます。

目移しをする場合はスライダーが糸のループをくわえたまま、針の頭より先にすべっていきます。
反対側の針がスライダーの隙間に入ってそのループを受け取ります。

「ゲージレス」と呼ばれる編機は、一枚の編地の中に二種類のゲージの編を同時に編んでいくことができる編機です。
仕組みはべら針を使って粗ゲージのところは1×1で抜いて編んでいます。
同じべら針でも薄く、ふところの深い針を使って太い糸もつかめるようになっています。
割り増やしができるようになって、目を戻した時に穴が開かなくなりました。

1993年頃から編機は「マルチベッド化」の方向へ進化し始めます。
これは針床が4枚、5枚という構造になっているのですが、図の上にある方の針床は目移しや編目を持ったりする役目をします。これによってゴム地の成型もできます。

編機には様々な工夫がなされています。
編地を引き下げるためのローラーも、針床のすぐ下にサブローラーが付き、編み始めてすぐ巻きとれるようになりました。
このことは立体的な編地を作りやすくしています。
また、最新のものは編地のゆるんでいるところだけ、針で引き下げるにもなっています。

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