ニットの歴史は靴下を中心に外衣へと発展してきましたが、やがてひとつの節目を迎えることになります。
1878年にシュトゥットガルト大学のイエガー博士(Dr.Jeager)が「ウールは身体の蒸発物を発散して、なおかつ保温効果がある」として直接肌に着けることが健康に良いという説を発表しました。
これを商標にして商社がウールのメリヤスの肌着を売り出し、後に綿製の下着も開発されました。
いつの時代も健康指向は人々の関心の的だったようです。
それ以前は布製の下着がほとんどだったということで、ニットが肌着の分野に進出する大きなきっかけとなりました。

   

1885年 女性用のコンビネーション

1894年 女性用の綿のコンビネーション

 
 

また、19世紀中頃にはジャージーとしてスポーツ・ウェアに用いられるようになり、ニットは衣類の代表的な素材として定着していきます。
そして、ストッキングは絹からレーヨンへそしてナイロンへと素材が進歩し、フルファッションから丸編のシームレスシームレスへ、やがて60年代に現在のパンティストッキングが完成します。
女性用のファンデーションはニットにストレッチ性のあるゴムの糸を使用することにより、紐で締めるコルセットから女性を開放しました。
この第1次世界大戦前から今日に至るライフスタイルの激変はニットの機能性、特性に非常にマッチしたものでした。
なにより今日的なファッションの提案をしたのはシャネルで、第1次世界大戦中に当時、下着素材であったジャージーで女性のドレスを作りました。
また、ディアギレフのバレエの衣装ではボーダー柄のニットの水着をデザインして新しい時代を切り開きました。

   

1928年頃 シャネルのジャージーのドレス

シャネルによるディアギレフのバレエの衣装

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