再生繊維は天然の繊維素(原料は、木材、パルプまたはリンターのパルプ)をいったん何らかの方法で溶剤に溶かして、細い孔から押し出し、引き伸ばして糸の形で繊維素を再生するので、このような呼び方をします。全化学繊維の17%は再生繊維です。
再生繊維を作る方法はビスコース法、銅アンモニア法、直接溶解法の三つがあります。

ビスコ−ス法

レーヨン、レーヨンステープル、ポリノジックがこの方法で作られます。
木材の繊維質を固めたパルプを原料として苛性ソーダと二硫化炭素を反応させてアルカリ水溶液に溶かし、これを小さな孔をたくさんあけた口金から硫酸水溶液中に糸状に押し出し、引き伸ばして細い糸状にし、溶けていた繊維素を再生し固めます。その糸をよく洗って漂白してレーヨンができあがります。
長いまま長繊維として使うものをレーヨンフィラメントといいます。短繊維として使う場合、繊維に倦縮を与え、短く裁断します。これがレーヨンステープルです。繊維の断面は凹凸のある扁平な形をしていて、独特の風合を持っています。こしが柔らかく、絹のような艶があり、また染色は容易で発色も鮮明です。強度に問題があり、とくに水にぬれると弱くなるのが欠点です。また、しわになりやすいという欠点もあります。
ポリノジックは強度を増すため、原料の木材の繊維素を痛めないよう配慮したパルプを使い、溶かしたときも条件を選び、紡糸のときに糸をできるだけ縦に引っ張って強い糸をつくり、それを短繊維にしたものです。

木材のセルロース

パルプ

苛性ソーダと
二硫化炭素を
反応させる

アルカリセルロース

ビスコース

口金から硫酸水溶液中に
押し出す

精練

乾燥

レーヨンフィラメント

フィラメントの製造工程

  

口金から硫酸水溶液中に
押し出し、短く裁断する

精練

乾燥

レーヨンステープル

ステープルの製造工程

  
レーヨンの断面図

レーヨンの断面図

 

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銅アンモニア法

キュプラがこの方法でつくられます。原料はリンターパルプを使い、これは木材パルプより繊維素の質がよく不純物の少ないパルプです。溶剤は銅アンモニア溶液で、直接パルプを溶かします。そもそもキュプラとは銅(copper)という意味なのです。溶けた液は粘っこい状態でビスコースと同様に小さな孔をたくさん持った口金から水の中に引っ張り出します。残った銅化合物を完全に取るために薄い硫酸で洗って糸にします。
紡糸された糸は断面が丸く繊維素の重合度も高いので、繊維に腰があり、独特の風合があります。染めやすく、発色がよく、艶があります。

キュプラの断面図

キュプラの断面図

直接溶解法

リヨセルは、溶媒法で造った再生繊維の総称です。N-メチルモルフォリン-Nオキシド(NMMO)という溶媒で直接パルプを溶かします。繊維の断面は丸く、強度も高く、水を含んだとき収縮も少なく強度もあまり落ちないという特徴があります。風合はビスコースより腰と弾力性があります。摩擦されると繊維が細かく縦に割れる(フィブリル化)性質があり、割れるとその部分が白っぽく変色します。英国コートルーズ社のテンセルがこの代表ですが、家庭用品品質表示法によって、これは指定外繊維として扱われます。

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