羊毛

羊
羊毛
一般的に衣料用の羊毛としてメリノ種がそのほとんどを占めています。最大生産国はオーストラリアです。
高い保温性と伸縮性があり、適度な吸湿性があります。型くずれしにくく、染色性がよく、燃えにくい性質を持っています。
ピリングが起こりやすく、フェルト化が起こります。
羊毛を糸にするには、長めの原料を梳いて作る梳毛(worsted yarn)と短い原料を紡いでいく紡毛(woolen yarn)があります。

梳毛をつくる工程

  梳毛は長い繊維が平行に並んでいて、表面に光沢があります
選毛   原毛を太さ、長さを調べ、不純物を取り除く
 
洗毛   せっけんとソーダで脂や土砂を洗い落とす
 
整毛
カード
  洗った羊毛を、表面に針を植えたローラーで構成するカード機にで梳き、薄い毛膜からロープ状の篠(スライバー)にする
 
インター、
コーマー
  スライバーを6〜10本合わせ、くしけづりながら引き伸ばし、均一なスライバーをつくり、コーマーで不要な繊維や不純物を取り除く。これで、ウールトップが出来上がる。
 
前紡   スライバーを引き伸ばす
 
精紡   1分間に1万回転もするスピンドルにスライバーをかけ、一気に糸の太さにまで引き伸ばし、撚りをかける。これが単糸の出来上がり。
 
合糸・撚糸 撚りをセットし、2本組み合わせ、逆の方向に撚りをかけて双糸ができあがる。撚りをかけた後には糸蒸しをし、撚りが戻らないようにする。
      

紡毛をつくる工程

  紡毛は繊維の方向があちこちを向いて、空気をふくんでいてふくらみがあります。表面に毛羽があります。
紡毛は梳毛にはかかりにくい短いウールや梳毛工程で発生する副産原料や毛糸屑、非ウール繊維などを混ぜて糸にできます。
 
洗炭化   原料をせっけんとソーダで洗った後、希硫酸に浸して乾燥させる。これで、繊維にまぎれた植物の種やどげが炭になって除去される。
 
反毛 糸屑や織物の断片屑をもう一度繊維の状態に戻す。
 
調合 原料を混合させる。
 
カード 紡毛カードにかけ、ローラーの間に原料を通し、毛の塊を薄いカ−ペット状に作り、60〜240本に分割して揉み丸め、篠状にする。
 
精紡 篠を引き伸ばし撚りをかける
 
    精紡にはミュール精紡とリング式精紡があります。
   
ミュール精紡 篠の細いところに早く撚りがかかり、太いところは引き伸ばされ、均整な糸がつくれる。6〜20番手
 
リング式精紡 高速回転するリングで篠に小さな撚りをかける。2〜7番手
 

なお、紡毛製品は縮絨という工程[せっけんを主とした40℃くらいの液に漬け、回転させる]での風合い出しが必要です。

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防縮加工

ウールは繊維を揃えてから、つまり糸や布の状態で水分・熱・力が加わると、整然と並んだスケール(うろこ)はその並びが崩れてしまい、そのまま乾燥すると並びが元に戻らず、縮んだままになります。これがフェルト化です。
それを防ぐ目的で「防縮加工」をほどこしますが、「オフスケール」といってスケールを取る方法と「樹脂加工」でスケール間をうめる方法があります。いずれも、良質のウールにするものではありません。ウオッシャブル・ウール、改質ウールと呼ばれるのはこれらの加工をしたものです。
「オフスケール」をしたものは糸が細くなり、ソフトになりますが、「樹脂加工」したものは糸が太くなり、硬くなります。

オフスケール 樹脂加工

オフスケール

樹脂加工

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羊毛以外にも、さまざまな風合いの動物の毛を糸にしています。これらの毛を獣毛(ヘアー)といいます。

代表的な獣毛

 
カシミヤ   カシミヤ   カシミヤはカシミヤゴートの毛で、春に自然脱落するのを梳取り集めます。原産国は中国、モンゴル、イランです。艶のある光沢で、非常に風合がよく、保温性も優れています。色は白が50%で他はグレーと茶で、繊度は15μ前後と細く、倦縮が1インチあたり3〜8個と羊毛に比べるとかなり少なめです。セーター1着に3頭の山羊が必要です。
 
キャメル キャメル ふたこぶラクダの毛が春自然脱毛するのを拾い集めます。原産国はモンゴル、アフガニスタンです。柔らかく、暖かく、滑らかです。色は茶系統です。
 
モヘア アンゴラゴート モヘアはアンゴラゴートの毛です。キッドモヘアはアンゴラゴートの仔山羊の毛です。原産国はトルコ、南アフリカ、アメリカです。繊度は40μと太く、強い反発性があります。倦縮がなくまっすぐな繊維で、最高の光沢と滑らかさ、吸湿性と軽さが特徴です。色は白、薄いグレー系です。
 
アルパカ アルパカ ペルーを中心にアンデス高原に住む、ラクダ科のアルパカという山羊より少し大きい動物の毛です。
繊度は20μ前後です。滑らかで柔らかな風合です。色は生成り、茶系、グレ−系です。
 
アンゴラ アンゴラ アンゴラはアンゴラうさぎの毛です。年2回刈り取ります。
原産国は中国、フランス、イギリス、ベルギーです。ぬめり感があり、肌触りが良く、かさが羊毛の3倍と軽いのが特徴です。着用中に毛の脱落が発生することがあり、フェルト化します。色は白です。
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