半合成繊維とは、天然の資源を主体として、それに合成した化学品を反応させて独特の性質をもった化学繊維を作ったものです。パルプの繊維素を主原料としたアセテート、牛乳蛋白カゼインを主原料としたプロミックスがこれにあたります。化学品の成分が50%から60%にもなることから、半分合成繊維に近いという意味で半合成繊維と呼ばれています。

アセテート

リンターパルプに酢酸を反応させて酢酸繊維素(酢酸セルロース)を作り、これを溶剤に溶かして口金の小さい孔から熱い空気の中へ押し出し引き伸ばし細い糸にすると、揮発しやすい溶剤が熱風によって瞬時に蒸発し糸が固まります。(乾式紡糸)

アセテートの製造工程

パルプ

無水酢酸を加える

酢酸繊維素
アセテートフレーク

アセトンを加える

紡糸原液

 
   

乾式紡糸
熱い空気を送り込む

アセテート
フィラメント

乾式紡糸
熱い空気を送り込む
捲縮後、裁断する

アセテート
ステープル

アセテートフィラメントの製造工程

アセテートステープルの製造工程

 
アセテートの断面図

アセテートの断面図

アセテートにはアセテート(ジアセテート)とトリアセテートの2種類があります。
繊維素に酢酸がたくさん化合している(約62%)のがトリアセテートで、やや少ない(55%)のがアセテートです。

アセテート(ジアセテート)

独特の光沢があり、しなやかで色もきれいですが、しわになりやすく、あまりにも弱いので衣料にはあまり使われていません。

トリアセテート

アセテートより合成繊維に近く、しわや水に対しても比較的強く、風合は絹に近くいろもきれいです。扱いには機械洗濯を避け、しみ抜き溶剤のアセトン、シンナーは繊維が溶けるので使用しないことです。

プロミックス

原料は天然の牛乳から取った蛋白質の牛乳カゼインにアクリルニトリルを加えて重合(共重合)したもので、塩化亜鉛に溶かして水の中で湿式紡糸します。絹に似た性質を持ち、十分な強度があり、染色性も優れていて発色も鮮やかです。取り扱いの注意は漂白剤を使用しないことと、スチームアイロンを避けることです。

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