絹は最も人間を魅了してきた繊維です。かつてはその重さが金に匹敵すると言われたほど貴重とされた時代もありました。今なお、その魅力は人々を虜にしています。
絹はカイコガと呼ばれるガの、サナギを包んでいる繭をほぐして作ります。カイコガにはカサンガ科とヤママユ科があり、絹に使われるのはカサンガ科のカサン(家蚕)、ヤママユガ科のサクサン(柞蚕)、テンサン(天蚕)です。
家蚕は家屋の中で育てられ、桑の葉のみを食します。桑の葉の成分の80%は水分ですが、残りの20%には蛋白質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラルなどバランスがよく、そのうち蛋白質が最もたくさん含まれています。これが絹の蛋白質に合成されるのです。この環境が細くきれいに整った糸を作るため高級品に使われます。また、柞蚕、天蚕は野蚕とも呼び、野生のカイコで、クヌギ、カシ、ナラ、マテバシイなどを餌にしています。野蚕は家蚕より2〜4倍太く、断面も扁平なため、それを生かした独特の風合いのものとなります。
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